ずいけい
まごころに生きる  


「想像力は知識よりも重要だ」の名言で知られる、あのアインシュタインが「光の速度よりも速く進むものはない」という、(そう)(たい)(せい)()(ろん)を思いついたのは、彼が高校生のころに見た「夢」だったといいます。それは、「光速度で光を追いかけていたら光の速さがだんだんゆっくりになった」という夢だそうです。
夢については20世紀に入り、心理学者によってさまざまな研究がなされました。フロイトは、無意識下の願望や感情が意識に現れたものが夢であるとしました。また、フロイトの弟子ユングは、夢は無意識からのメッセージであり、その人の内界に潜在している可能性を示してくれるといっています。いずれにしても、私たちの意識より深い深層意識からのメッセージが夢となるのでしょう。
仏教では4世紀ころに、()(じゃく)()(しん)という兄弟のお坊さんが、「(ゆい)(しき)」という教えを説かれました。(ゆい)(しき)では、人には物事を判断する六つの認識作用「(げん)(しき)()(しき)()(しき)(ぜつ)(しき)(しん)(しき)()(しき)」があり、それを支えているのがその奥にある深層意識の、「()()(しき)」であり、さらに深いところに「()()()(しき)」の世界があるといいます。
そして、人が行う行為のことを「(ごう)」(カルマ)といいますが、業には「()(くち)(おもい)」の三つがあり、身体で行ったこと、口で言ったこと、心で思ったことの行いが種子となって()()()(しき)の中にたくわえられていくのです。(()()()(くら)という意味で、()()()(しき)は意識の蔵という意味)つまり、人の行動や言動や思いは、すべて記憶となって無意識の一番奥の深層意識である、()()()(しき)の中に記録されていくということです。
仏教は、(りん)()(てん)(しょう)を説きます。つまり肉体は滅びても、また次の(しょう)へと(てん)(しょう)し生まれ変わっていくのです。このときに、()()()(しき)(たくわ)えられた(ごう)(たね)は、消滅してしまうことなく次の生に引き継がれて、(げん)()での性格や才能などに現れるといいます。

さて、今から80年ほど前のアメリカに、エドガー・ケイシーという人がいました。
エドガー・ケイシーには不思議な能力がありました。それは、(さい)(みん)(りょう)(ほう)により、人の病気を治したり、その人の前世をいい当てたりするというものです。ただ、普通の催眠療法と大きく違うところは、患者を催眠状態にするのではなく、ケイシー自身が催眠状態になり、患者の身体の状態、病状、治療法などをいい当てるというものでした。催眠中のケイシーの深層意識を介して相手の深層意識にコンタクトし、それによって相手の病気を診断したり、必要な治療方法述べたりすることができたのです。ケイシーが催眠状態で語る言葉は「リーディング」と呼ばれ、最初は病気や健康に関するものが多かったのですが、後に人生やビジネスや宇宙に関するものなどあらゆる質問に答えています。その数は、14,000件におよび、その答えは速記によって記録され、それぞれの内容によって分類されました。
その分類された内容の中に、夢を解釈するというリーディングがあります。それは、依頼者が見た夢をケイシーがリーディングによって解釈したものです。ケイシーは、夢は人生を充実させ豊かにする貴重な情報の宝庫だといいます。
ある女性が、次のような夢を見ました。「駄菓子屋さんに行き、お店の人に10セントで(あめ)をくださいといいます。すると店主は飴玉を4つくれました。割に合わないと思い、今度は1ドルでチョコレートをくださいといいます。すると1ドルで3個しかくれません。私は不愉快になり買わないで店を出ました。」(当時の1ドルは、今日の数万円の価値があると思われます)
これに対するケイシーの解釈は、「これは、日頃あなたが周りの人々に対して取っている態度である。あなたは人からの奉仕や親切をあまりにも安く見積もっている。あなたが日頃人々に対して取っている態度を、夢の中では相手から受けているのです。心の持ち方を変えなさい。」というものでした。この夢では、いじわるな店主が実は自分自身の反映であったのです。現実の生活では、自分が相手の善意や親切を安く見積もっていたのですが、夢の中では逆に彼女自身が人からそのように扱われることになりました。
もし、夢が深層意識からのメッセージであり、その深層意識は、実は自身の行いのすべてであるとするならば、より良い夢を見るためには、自分自身の(おこない)(ことば)(こころ)を正しく保つことに他ならないということになります。
ケイシーも「人生で大切なことは、(しん)(ぼう)、兄弟愛、(にん)(たい)、親切、やさしさ、希望、信仰である」といわれています。






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●令和6年8月号 瑩山禅師700回 大遠忌法要修行
●令和6年5月号 日本の成り立ち
●令和6年3月号 生命の不思議
●令和6年1月号 生命とは動的平衡
●令和5年10月号 色即是空空即是色
●令和5年8月号 森の木は会話する
●令和5年5月号 教育勅語
●令和5年3月号 龍村仁監督と佐藤初女さん
●令和5年1月号 中宮寺 如意輪観音
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●令和4年3月号 イマジン
●令和4年1月号 日本のなりたち
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●令和3年8月号 「而今」ー今ここー
●令和3年5月号 シュリハンドクとレレレのおじさん
●令和3年3月号 コロナウイルスとこれからの日本
●令和3年1月号 三密とコロナ
●令和2年10月号 日月神示が告げるコロナとミロクの世界
●令和2年8月号 祈祷-命の危機の時代に-
●令和2年5月号 色即是空-色はすなわち是れ空なり-
●令和2年3月号 お彼岸-内海聡先生講演会-
●令和2年1月号 お水の時代
●令和元年10月号 生まれる前のおはなし
●令和元年8月号 祈りと量子力学
●令和元年5月号 一休禅師とシャーリー・マクレーン
●平成31年3月号 『浴司』よくす
●平成31年1月号 夢と意識
●平成30年10月号 『而今』にこん
●平成30年8月号 懐奘さまのまごころ 孝順心
●平成30年5月号 唯仏与仏
●平成30年3月号 彗星探索家 木内鶴彦さん
●平成30年1月号 金子みすゞの世界
●平成29年10月号 お地蔵さま
●平成29年8月号 お盆
●平成29年5月号 諸法実相-ただ仏と仏とのみ-
●平成29年3月号 即心是仏
●平成29年1月号 はじまりはひとつ
●平成28年10月号 ホセ・ムヒカの生き方と言葉
●平成28年8月号 1/4の奇跡
●平成28年6月号 いのちをむすぶ ー佐藤初女さん
●平成28年3月号 般若心経
●平成28年1月号 生きがい
●平成27年10月号 死後の世界(その二)
●平成27年8月号 死後の世界
●平成27年5月号 ダライ・ラマ十四世法王
●平成27年3月号 正倉院ーシルクロードの終着駅ー
●平成27年1月号 三帰礼文ー三宝を敬うお唱えー
●平成26年10月号 「般若心経」色即是空・空即是色
●平成26年8月号  ハス
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●平成26年3月号 無情説法
●平成26年1月号 石田徹也
●平成25年10月号 食 じき
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●平成25年5月号 宮沢賢治ー菩薩の道を行くー
●平成25年3月号 東日本大震災 三回忌追悼
●平成25年1月号 新年あけましておめでとうございます
●平成24年10月号 宇宙の始まり
●平成24年8月号 ふくしま
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●平成24年3月号 画餅 -絵に描いた餅-
●平成24年1月号 いま・ここを大切に生きる
●平成23年10月号 大自然から学ぶ
●平成23年8月号 暑中お見舞い申し上げます
●平成23年5月号 花まつりーお釈迦さまの誕生日
●平成23年3月号 「奇跡のリンゴ」
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●平成22年8月号 自発的治癒力
●平成22年8月号 地蔵盆
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●平成22年5月号 お水取り
●平成22年3月号 仏さまに救われて
●平成22年2月号 号外 真如の表紙
●平成22年1月号 新年のごあいさつ
●平成21年10月号 浄国寺御開山
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●平成20年8月号 天来の呼び声
●平成19年8月号 釈迦八相
●平成19年5月号 花まつりーお釈迦さまの誕生日
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