ずいけい
まごころに生きる  


750年前、宗祖道元(どうげん)さまは「正法眼蔵(しようぼうげんぞう)」の『一顆明珠(いつかみようじゆ)』の巻に、「尽十方世界(じんじつぽうせかい)これ一顆(いつか)明珠(みようじゆ)なり」と説かれました。尽十方世界(じんじつぽうせかい)とは、この世のあらゆる世界という意味で、全宇宙ということです。一顆(いつか)とは、一つのという意味で、明珠(みようじゆ)は、明るい輝かしい(たま)という意味です。つまり、この宇宙全体は、明るく輝く一つの珠であるというのです。

宇宙の始まりは、137億年前に、高密度で高温な一つの玉が爆発したことに始まるといいます。そして、その空間が拡張して、そこに銀河系ができ、太陽系ができて、今から46億年前に地球が生まれました。さらに地球に生命が誕生したのが40億年前といわれています。そして、宇宙は現在も無限に拡張し続けています。 
つまり、この世の中の、すべての世界、あらゆる存在、あらゆる生命は、元を正せばたった一つの玉であったということです。

ネパールで撮影されたドキュメンタリー映画、銀河(ぎんが)(しずく)」―はじまりはひとつ―の監督、山元加津子(やまもとかつこ)さんは、「私には不思議な記憶がある。今となっては夢だったのか、それとも実際の記憶なのかわからない。それは、本当に奇妙な記憶だ。
私が二つにわかれたがっている。そしてわかれていく。そのときの感覚は、今もありありと思い出せる。たとえ二つにわかれても、四つに分かれても、大丈夫なのだと私は知っていた。わかれたものは、それぞれが光を持ち、それぞれの中心のところで輝いている。
どんなにわかれても、私はバラバラにならず、みんなひとつで、大丈夫だということを、私はその時に知っていて、幸せだった。
それが、私の一番古い記憶だ。時々、私はふと、その記憶につつまれる。細胞一つ一つがその記憶を覚えているように、言葉で言えない不思議な感覚につつまれる。そしてその時に、必ず景色の中に、銀河の(しずく)のような、キラキラとした雪が舞う感じがする。
今になって、それは、私の始まりのときの記憶だろうか?生物の始まりの時の記憶だろうか?それとも、宇宙の始まりの時の記憶だろうか?そんなことを考えるのだ」
と、いわれます。
よく、5歳くらいまでは、自分が生まれたときの記憶や、あるいはこの世に生まれてくる前の、前世の記憶を忘れないで覚えているという人がいますが、山元加津子さんは自分の最初の一つの細胞が分裂をはじめたときの記憶や、さらには宇宙が爆発し拡張をはじめた最初の記憶を思い出すことがあるといいます。
山元さんは、この映画の中でもいわれています。「私たちは、もしかしたらだけど、本当はみんな最初のひとつだったときの記憶を心の奥に持っているのじゃないかと思うときがあります。
私のその記憶はキラキラと光っていて、銀河の(しずく)のようだなあと思うのです。
そしてネパールの人たちはみんな、全部がつながっていて、ひとつだったということを、昔は100%の人が知っていて、今でも80%の人が知っているそうです。
映画に出てくるギータちゃんも、『あなたも素晴らしい、私も素晴らしい。どうして争うの?受け入れればいい。みんな受け入れればいい。最初はひとつ。同じだよ』といっています。」

はじまりはひとつです。だから、あなたは私かもしれないし、花かもしれないし、鳥かもしれないし、空かもしれないし、星かもしれないのです。争うことにどんな意味があるのでしょうか。
すべての人が、平和で(おだ)やかな「まごころ」の一年であることを願います。




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