ずいけい
まごころに生きる  


ー社会の矛盾と苦悩・・・時代を駆け抜けた画家ー
現代の若い世代に大きな衝撃と影響を与えた、石田徹也(1973-2005)という画家がいます。彼の展覧会を見て2500人の来場者が絵の感想をつづっています。
◇俺が絵になっていた! 
◇自分が何をしたいのか、未だにわかりません。自分は絵に描かれている人と同じ死んだ目をしている。
◇飛べなくなって20年以上・・・心を殺してする会社勤めの日々・・・私だけではないから、多くの人が心打たれるのではないでしょうか。


飛べなくなった人
むかしデパートの屋上にあった遊具の飛行機。大人になったら世界に飛び出したい!と思っていた人々が、会社に入って、現実の厳しさに固定され動けなくなり、閉塞感と孤独感を感じる。飛行機と合体した男、どこか悲しげです。

兵 士
サラリーマンが負傷して、傘を銃に見立てて隠れています。でも、敵がどこにいるのか、敵は何なのかも分からない。そもそも何で戦っているのかも分からないのです。

荷 物
通勤電車では、四角く圧縮され(ひも)と取っ手をかけられたサラリーマン達がまるで荷物のように運ばれていきます。旅をする人が移動するのではなく、ただ物として運ばれていくのです。自分は人間なのになぁ。でも本当に人間だったのだろうか、自分でも段々と曖昧になっていくようです。午後5時、ああもうすぐ運ばれていく時間です。

燃料補給のような食事
牛丼屋のカウンターで、まるで車のガソリン補給のような食事をする人が描かれています。社会は人を、人間の形をしている物として扱ってはいないでしょうか。家庭や学校では、人は個性を大切にしなくてはならないと教えていますが、人と違ったことをすると抑圧(よくあつ)され、目立つ人はたたかれたり、いじめられたりしてしまいます。突飛なことをすれば、それでは社会で生きて行かれないといって、皆と同じことをするよう強要されて自分らしさを持つことを否定されます。いまの日本の社会の中では、結局だれでも同じなんだという世界観を表しているようです。

彼 方
廃車と合体した老人が横たわっています、目には生気がありません。人の肉体は入れ物、その中に魂が宿っているのでしょうか。老いていく人や大病の人は、このポンコツの車のように肉体がいうことを利かなくなって、そこにがんじがらめになっていく感覚なのでしょうか。命を正面から受けとめて描いた作品です。

触 手
大きなクラゲのなかで、気持ちよく眠る男、それをやさしく抱く女性も傷を負っています。クラゲは動物の中でも一番原種的なものです、そういう世界に戻っていきたいという母胎回帰の気持ちでしょうか。女性は傷ついています。自分が傷ついていないと他の人の痛みが理解できないのでしょう。

我々現代人は、文明や科学の発展によって豊かさを手に入れたと同時に、さまざまな社会の歪みの中で生きることを余儀なくされました。現代人の悩み、不安をひとり背負った青年のメッセージが、石田徹也の作品に表現されています。そこに共感するとともに私たちも何かを考え、実行していかなければならないのでしょう。彼の作品は、我々にそのきっかけを与えているのではないでしょうか。
石田徹也はいいます。「聖者のような芸術家に強くひかれる。聖者とは、一筆一筆描くたびに世界が救われていく、全ての人類の痛みを聴いたりするような人達のこと」
彼は、踏切事故で31歳で亡くなるまで、200点もの絵を描きました。絵に命を捧げた人生でした。




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