ずいけい
まごころに生きる  


 と き 平成23年3月21日 お彼岸お中日 午後2時より

「わたしの身のまわりでは、常識で考えられないことがたくさん起こります。現代の科学では証明できない類の話です。農薬も肥料も一切使わないで最高に美味しいりんごが実るのもその一つです。わたしはこう思うのです。この世界で、人間が理解できること、理解していることなんて、ほんのわずかに過ぎないと。」(木村秋則著『すべては宇宙の采配』より) 

無肥料・無農薬でリンゴが育つことも不思議ですが、木村さんは、学生の頃からとても常識では考えられない不思議な出来事を体験されてきました。
その一つが、龍との遭遇です。それは、木村さんが高校2年生の7月のことです。授業が終わり自転車に乗って、いつもの帰り道をふらふらとこいでいました。右側には梅干屋さんがあり、左手には湧き水があって、その横には松の木が2本植わっていました。右側の前方には同じ方向に歩いているオヤジさんが見えました。オヤジさんはつなぎを着て、タオルをはちまきのようにして頭に締めていました。自転車ですから、あっという間に前方のオヤジさんに追いつきました。その時、オヤジさんの動きが、ピタッと止まってしまったのです。それも片足をあげたまま。パントマイムのように完璧に止まっているオヤジさんに目をぱちくりさせていると、左側にある防風林の上から、いきなり巨大な物体が道路にドテッと現れたのです。「ワニだ!」木村少年はびっくりして自転車を止めます。巨大なワニでした。もぞもぞとうごいています。ひげがありました、人間の太ももくらいの太さです。
ワニにはひげがないはずです。少年は、本で見た龍の絵を思い出します。そっくりでした。「龍だ!」なんで、こんなところに龍がいるのだ。驚きと恐怖で、少年は一歩も動くことができなくなります。
半端な大きさではありません。防風林の向かいにある梅干屋さんに届くくらいの長さで、道路いっぱいに恐ろしげな顔を広げています。しかし、助けを求めるとか、逃げだそうという気持ちにはなりませんでした。ふと見ると、オヤジさんは相変わらず動いていません。そのときようやく頭が働き、「もしかしたら、時間が止まってるんじゃないの?」と思います。
次の瞬間、巨大な龍は、湧き水の横の松の木に移動していました。松の木の先端に上を向いて尻尾で立ち上がりました。しばらく松の木の上にいた龍は、そのまま空に向かって一直線に飛んでいきました。我にかえった木村少年は、あのストップしてしまったオヤジさんはどうしただろうと、道路の向かい側を見ます。すると、何事もなかったように、止まる前から続く動作のように自然に歩き始めていました。
急いで家に帰り、畑仕事をしていた両親にいま見てきた話をしました。「なにをバカなことをいって…」とは一切いわれませんでした。それどころか、想像上の生き物だといわれる、だれも見たことがない龍を我が息子が見たということで、盛り上がり「すごいもん見たな!よし、そこに行こう」と一緒に現場に戻ることになりました。もちろん龍の姿はそこにはありませんでした。防風林の向こうにある湧き水は、江戸時代からこんこんと湧き、人が飲むだけでなく、馬に飲ませるために立ち寄ったりと、憩いの場として愛用されていたそうです。「だからよ、この水飲み場なら、龍がいてもおかしくないのよな」と、両親は興奮気味に話し合ったといいます。そして、父親は、「あ〜、一度見たかったなあ」とつぶやいたといいます。

これが、木村さんが龍と会ったお話です。日本では、龍は水の神様といわれ、きれいな水に住むと信じられています。いまでも日本各地に「龍神の湧き水」や「龍神池」などとして祀られています。ただ、龍はもちろん架空の動物なので、実際に見た人はいないと思います。
ですから、このような木村さんの体験は信じられない、幻覚だったのではないかと思うのが普通です。
けれども、問題なのは、ある体験が正しいか、正しくないかということではなく、その体験がその人にとって、どれほどの真実を含んでいるかということではないでしょうか。
木村さんは「私は、リンゴの木の目に見える地上部分だけを見て、右往左往していました。地中には作物の2倍以上の長さの根が張っています。大事なことは、目に見えるものや、地上に出ているものだけではないことを知りました。人間もそうです。大事なことは、目に見えない部分にあるのです」といわれます。
私たちが目にしている現実の世界は、無限大に広がる宇宙のほんの一部分にしか過ぎないのです。むしろ、見えない世界、聞こえない世界、感じることのできない世界の方がずっと多いということでしょう。
私は、この龍との遭遇の体験が木村さんにとって真実であったと信じています。
 
皆さまも、ぜひ木村さんの講演会にお出でいただき、その純粋でまじめであたたかいお人柄と、ユーモアあふれるお話に接していただきたいと思います。「この人なら、本当に龍に遭遇したのかもしれない…。」と思えてくるかもしれません。

▲木村秋則さん ▲奇跡のリンゴ


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