ずいけい
まごころに生きる  


彼岸とは、理想の世界のことです。「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、お彼岸は昼と夜の長さが同じになり、季節のちょうど真ん中です。これが、お釈迦さまの「(ちゅう)(どう)」(両極端にかたよらない)の教えと重なり、かたよらない心、バランスの取れた心で理想の世界に渡るよう精進する1週間となりました。

お彼岸のお中日の法要終了後、内科医の内海聡先生の講演会を開催いたします。
内海先生は、注射や薬に一切たよらない医療を実践している、とてもユニークな先生です。内海先生は、(しゃ)(かい)(どく)「人間社会がつくり出し、本来人が食べたり、使ったりしなかった物質で、そしてそれが人体に悪影響をもたらす物質」は、私たちの病気をつくる元になっているといわれます。 
この社会毒は、昔の人は食べなかったもの、使わなかったものです。具体的な例をあげると、昔の人が食べていなかったものは、遺伝子組み換え作物・食品添加物(保存料、着色料)・砂糖・甘味料などです。そして、昔の人が使っていなかったものは、西洋薬・農薬・環境ホルモン・殺虫剤・洗剤・プラスチック・電磁波・大気汚染・人為的放射能などです。
これらの社会毒は、自然界では本来存在しないものや、ごく少量存在するものでしたが、文明の発達や科学の進歩にともない大量につくられ、使われるようになり、多くの利便性をもたらしました。その反面、私たちの身体へ悪影響をあたえて、がんやアレルギー、(こう)(げん)(びょう)やアトピー、さらには精神障害など、いろいろな病気をを発症させているといいます。

内海先生は、著書の中でこういわれています。
「食に関していえば、社会毒をとらないようにすることも大切ですが、もっと重要なことは食の本質を知ることだと考えます。そして、その答えは、先住民や野生動物にあると思います。かれらは畜産も農耕もほとんどしません。そのときに必要なものを、必要な分だけ(しゅ)(りょう)(さい)(しゅ)によって()るだけです。かれらの中に食の優劣などありません。そんな思想さえ存在しないでしょう。かれらに栄養などという概念はありません。しかし、かれらは我々よりもはるかに健康な肉体を持っています。
以前、先住民族の一部は次のような考え方をすると聞いたことがあります。それは、『農耕とはなんと野蛮で(いや)しい方法なのか。あろうことか母なる大地が生み出したものではなく(狩猟採取という意味)、母なる大地の皮膚を切り裂くように広大に傷つけ、人が我が物顔で大地の支配者のようにふるまい、かつそこで得たものを分け合うのでもなく一部のものが独占している。これほどの(みにく)い生物が同じ種であることが信じられず、恥ずかしいことこのうえもない』というものです。私はなんと(こう)(しょう)な思想だろうと思います。
また、ある笑い話があります。ついに地球に神様が(こう)(りん)して、地球上のすべての生物の願いを一つだけかなえようといいました。多数決で決めるのでよく考えるようにと告げます。人間は一つの願いを決めるために世界中が大論争となり、ついには戦争を起こしてしまいました。やがて、やっと戦争の痛みから目が覚め、(おろ)かさを反省します。そして神様に願いはかなえなくてもいいと伝えます。
審判の日がきました。神様は軽ーい声で人間にこう告げます。『はーい。人類滅亡に決定いたしまーす!』人々は驚いて神様に問いただします。『我々は考えを改めてすべての人が願いはかなえなくていいと考えた。でも誰も人類の滅亡なぞ望んでいない』
神様は答えました。『人類よ。確かに人類のすべてがその願いであったことはわかっている。しかし、地球上にいるすべての他の生物が人類を滅ぼすことだけを強く願っているため、人類は滅ぼされるように決定されたのだ。いやー、すまんのう!』
私には、この話が先住民の思想と(どう)(こん)なのだと思えてなりません。食べることが生きることであり、自分の身体にも、子孫にも、社会にも、未来にもつながっているとするならば、最も人が省みなければならないものはなんなのか、それを考えることこそが大切な食のテーマなのだと思います」



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