ずいけい
まごころに生きる  


―宇宙の真実を知る―
般若心経は、本来すべてのものにはこだわりがなく、平等であると説いています。偏見や思い込みや差別の心をなくし、思いやりの心を大切にすることにより、苦しみや悩みから解放され、こころ穏やかに過ごすことができると説くのです。
特別支援学校の先生として30年以上勤務してきた、山元加津子(やまもとかづこ)さんという方がおられます。あるとき学校で、知能テストが行われました。山元さんが、大ちゃんという子と知能テストをしたときのことです。問題は「目は見る、それでは耳は?」でした。答えは「聞く」と言わなければなりません。大ちゃんに「目は見る、耳は?」と尋ねたときに、大ちゃんは「だいじょうぶや」と答えました。それでは、正解になりません。山元さんはもう一度「ねえ、大ちゃん、目は見る。耳はどうかな?」と聞くと、大ちゃんは、耳が聞こえるかどうかを心配しているのだと思ったのでしょう。「だいじょうぶや、俺、だいじょうぶやから、安心してな」と言いました。もちろん正解にはなりません。
そういう検査の積み重ねで出た、知能指数の値は、いったいなにを表すのでしょうか。数値が高い方がすぐれている、低いと劣っていると判断するのでしょうか。
この春の時期は、入試の季節でもあります。試験は、人に数値をつけて判断をするということです。学校は、テストの点数によって生徒をふるいにかけ合否を決定します。
でも本当は、本来人間としての価値は、すべて平等で同じであるはずです。
山元加津子さんは、大学の理学部の科学科に学ばれたそうです。現在の科学でわかっていることは、宇宙はすべて素粒子という極微な粒子でできていて、それが集まって原子となり、原子が集まって分子となり、そして分子が集まって物質ができている、ということだといいます。
つまり、この世のすべてのものは元は同じ微細な粒子であるということです。
山元さんは、この粒子の考えから般若心経を訳されました。「『(くう)』(目に見えない実体のない宇宙の約束)である宇宙の情報から、粒子を使って作り出されたものが、私たちの身体『(しき)』(形あるもの)であると考えてはどうでしょう」といわれます。そうすると、般若心経の有名な「色即是空(しきそくぜくう)空即是色(くうそくぜしき)」という意味を、「形のあるものは、宇宙の約束で存在し、見えない約束によりすべての形が生み出される」と、理解できるといいます。
それでは、山元加津子さんが訳された般若心経をご紹介しましょう。


宇宙(そら)の約束‐般若心経‐

自分の身体のその奥に
確かに確かに座っている
大きな宇宙の約束が
いつもいつもささやいている

いつかのいい日の明日のために
いつもいつもささやいている

忘れないでね
大切なのは
心の目と心の耳をすますこと
そして自分を信じること

むかしむかしのことでした
心の目と心の耳をすましたある人が
宇宙の約束とつながって
本当のことに気がついた

すべてのものは どれもみんな その約束からできている

約束は 目にも見えず 重さもなくて
あるのかないのか わからないけど
でも 宇宙の何もかもが この約束からできている

「いいことに気がついちゃった」とその人は
苦しまなくてもいいんだなあ
悩まなくてもいいんだなあと
とてもうれしくなりました

宇宙にたくさん散らばっている
たくさんのつぶつぶは
約束のもとに集まって
海を作り 山を作り 花を作り
人を作る
約束は 目にも見えず 重さも持ってないけど
風をそよがせ 雨を降らせ ときには星を輝かせる

誰かと誰かを出会わせて 誰かと何かを出会わせて
涙や笑顔を作り出す

私とあなた あなたとお花 お花と石ころ
みんな同じ
同じものでできている
違うのは
だれもが持ってる約束の
私が私である場所(とこ)
花が花である場所(とこ)
光があっただけのこと
スイッチが入っただけのこと

あなたは
私だったかもしれないし
私はもしかしたら
庭に咲くたんぽぽや
降る雪だったかもしれないね

約束は私を作り
私の中に 宇宙の約束が座っている
すべてのものが 約束の中にあり
約束は すべてのものの中にある

でもね
忘れちゃいけないの

約束には無駄がなく
必要なものだけを
いつもちゃんと作ってる

花がそこに咲くことは
それが大切だという(あかし)
私がここにあることは
それが必要だという(あかし)

宇宙の約束とつながって
過去と今
今と未来
すべてのことを
見渡すことができたとき
きっときっとわかること

すべてのことは
いつもいつも
いつかいい日のためにある

うれしいことも悲しいことも
きれいなことも 汚れたことも
増えることも 減ることも
その約束の現れだけど
現れているすべてのことが
いつかのいい日のためにある

だから思うの

生きていると
いろんなことが あるけれど

楽しいことも 苦しいことも
悲しいことも うれしいことも
雨や 雪や 月の光が
空から降ってくるように
手をひろげて受けとめていけばいいんだね

怖がらなくてもいいんだよ
悲しまなくてもいいんだよ
だってすべてがだいじょうぶ
すべてがみんなだいじょうぶ

揺れる、歌う、踊る、祈る…
はねる、描く、回る、思う…
約束と つながっていく方法は
いつも私の中にある
揺れて踊って、飛んで思って
心の目と 心の耳が開いてく
そして 本当のことを知る

さあ明日へ歩きだそう
大切なのは
心の目と心の耳をすますこと
そして自分を信じること

花が咲くように 雪が舞うように
月が照るように あなたといたい

鳥が飛ぶように 風が吹くように
海が歌うように あなたといたい

広い宇宙の中で 長い時間の中で
あなたと出会えたこと
きっときっと宝物

星があるように 山があるように
空があるように あなたといたい


山元さんは、般若心経をとてもわかりやすく、そしてステキに訳されました。私たちはみんな、宇宙の約束のもとに生かされているのでしょう。





最新記事へ



●令和元年8月号 祈りと量子力学
●令和元年5月号 一休禅師とシャーリー・マクレーン
●平成31年3月号 『浴司』よくす
●平成31年1月号 夢と意識
●平成30年10月号 『而今』にこん
●平成30年8月号 懐奘さまのまごころ 孝順心
●平成30年5月号 唯仏与仏
●平成30年3月号 彗星探索家 木内鶴彦さん
●平成30年1月号 金子みすゞの世界
●平成29年10月号 お地蔵さま
●平成29年8月号 お盆
●平成29年5月号 諸法実相-ただ仏と仏とのみ-
●平成29年3月号 即心是仏
●平成29年1月号 はじまりはひとつ
●平成28年10月号 ホセ・ムヒカの生き方と言葉
●平成28年8月号 1/4の奇跡
●平成28年6月号 いのちをむすぶ ー佐藤初女さん
●平成28年3月号 般若心経
●平成28年1月号 生きがい
●平成27年10月号 死後の世界(その二)
●平成27年8月号 死後の世界
●平成27年5月号 ダライ・ラマ十四世法王
●平成27年3月号 正倉院ーシルクロードの終着駅ー
●平成27年1月号 三帰礼文ー三宝を敬うお唱えー
●平成26年10月号 「般若心経」色即是空・空即是色
●平成26年8月号  ハス
●平成26年5月号 観音さま
●平成26年3月号 無情説法
●平成26年1月号 石田徹也
●平成25年10月号 食 じき
●平成25年8月号 GOMA
●平成25年5月号 宮沢賢治ー菩薩の道を行くー
●平成25年3月号 東日本大震災 三回忌追悼
●平成25年1月号 新年あけましておめでとうございます
●平成24年10月号 宇宙の始まり
●平成24年8月号 ふくしま
●平成24年5月号 花まつり
●平成24年3月号 画餅 -絵に描いた餅-
●平成24年1月号 いま・ここを大切に生きる
●平成23年10月号 大自然から学ぶ
●平成23年8月号 暑中お見舞い申し上げます
●平成23年5月号 花まつりーお釈迦さまの誕生日
●平成23年3月号 「奇跡のリンゴ」
●平成23年1月号 「すべてはこころ」
●平成22年8月号 自発的治癒力
●平成22年8月号 地蔵盆
●平成22年8月号 奇跡のリンゴ
●平成22年5月号 お水取り
●平成22年3月号 仏さまに救われて
●平成22年2月号 号外 真如の表紙
●平成22年1月号 新年のごあいさつ
●平成21年10月号 浄国寺御開山
●平成21年5月号 花まつり
●平成21年3月号 お彼岸
●平成21年3月号 チェンジ-変革
●平成20年10月号 あいさつ
●平成20年8月号 天来の呼び声
●平成19年8月号 釈迦八相
●平成19年5月号 花まつりーお釈迦さまの誕生日
●平成17年10月号 イサム・ノグチとモエレ沼公園

Copyright (C) 2009 joukoku-ji.jp. All Rights Reserved.