ずいけい
まごころに生きる  


(しき)はすなわち(くう)である・ (くう)はすなわち(しき)であるー
(しき)(そく)()(くう)(くう)(そく)()(しき)」は、日本で一番よく読まれているお経『般若心経』のことばです。
(しき)とは、目に見えるものという意味で、宇宙に存在するすべての形ある物質や現象をいいます。(くう)とは、何もないということではなく、ものには実体がないという意味です。 
つまり、目に見えるもの、形づくられたものは、実体として存在しているのではなく、つねに変化しているものであり、固定した実体は存在しないという意味になります。
一見、変化しないように見える、金やダイアモンドであっても、今から46億年前に地球が誕生し、現在にいたるまでの永い時間やいろいろな条件の中で、できた物質です。ですから、いずれ永い時間を経て、また変化し移り変わっていくということになります。
このように、すべての物質や現象「(しき)」には実体がなく、けれどもその実体のない「(くう)」の世界から、すべての現象世界が生まれるのです。このことを「(いん)(ねん)」といい、すべてはご(えん)によって(かり)にこの世に現れているだけで、いずれ姿を変えて「(くう)」の世界へ帰っていくのです。
 
(りょう)()モナド理論」というものがあります。ドイツの哲学者・数学者のライプニッツ(1646ー1716)が提唱しました。それによるとモナドとは、空間を説明するための概念で、単一なる実体で、世界はモナドによって構成されていて、それ以外のものは存在しないといいます。ライプニッツは、神や心を考察して「(たん)()(モナド)」という概念にいたったといいます。ライプニッツのいう単子とは、神でもあり人間でもあり、そのすべてを含み、かつたった一つしかないもの、それが「単子」であるといいます。万物を実在させる究極的な構成要素がモナドであり、世界はモナドによって構成されていて、それ以外のものは存在しないといいます。

画家で作家のはせくらみゆきさんは『「量子モナド理論」は完全調和への道』という本を、物理学者の(やす)()(くに)()先生と共著されました。はせくらさんは、幼いころから、「この世界の本当の姿はどうなっているんだろう?」とか、「宇宙って、何で出来ているんだろう?」といったことが知りたくてたまらず、いろいろな本を読んだり、人に聴いたりしましたが、なかなか()に落ちる答えには、出会えませんでした。直感的には、宇宙は美と秩序で出来ていて、これを「愛」と呼ぶのだろう、と感じていましたが、それを科学的に証明せよと、いわれてしまうと、うーん、と立ち止まってしまいました。
そんな中、この本の中で保江先生と対談して、とうとう時代が追いついて、宗教の奥義である世界観と、最新の科学の知見が(がっ)()して、いよいよ、宇宙の本質的な鍵が開かされる時がやってきたといいます。
はせくらさんは、それが「量子モナド理論」であるといいます。この理論を一言で説明するならば、私たちが観ている心の世界が、宇宙を創り出していて、宇宙は心が、観ている世界の中で、展開されているのだといい、これはまさしくお釈迦様が説かれる「色即是空・空即是色」を、物理学の分野で完全証明してしまった!という画期的な理論であるといわれます。

最近めざましい、量子力学などの科学の研究によって、『(くう)』や『(えん)()』(いっさいの現象は種々の因縁によって(しょう)()するという考え)など仏教の根本原理も科学の力で解き明かされる時代が来るのかもしれません。



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