ずいけい
まごころに生きる  


今からおよそ137億年前、とてつもない高い密度と温度の玉が爆発しました。それにより空間と時間が無限大に拡張しはじめます。これをビックバンといい、ここから宇宙がはじまったといわれています。
その後、銀河系が生まれたのが120億年前、さらに太陽系ができ太陽や地球が生まれたのが46億年前といわれています。
またさらには、この地球上に新人という人類が出現したのが2万〜1万年前といわれます。
さて、お釈迦さまは今から約2500年前インド北部ネイランジャナー河(尼連(にれん)(ぜん)())のほとり菩提樹の(もと)で坐禅をされ、12月8日の早朝、()けの明星(みようじよう)(金星)をご覧になりお(さと)りを開かれました。
そして、いわれた言葉が「三界所有唯是一心(さんがいしようゆいぜいつしん)」です。これは、「すべての世界はただ一つの心から現れ()でたのである」という意味です。
ふつう我々は、もの(・・)には後から心が宿ると考えますが、お釈迦さまはそうではなく、まず最初に心がある。その心によって現象世界が現れてくると説かれるのです。ですから、この宇宙が誕生したのも、まず宇宙を誕生させるこころ(・・・)があり、その心によってこの現実の世界が現れたのだということです。

750年前、永平寺を開かれた道元(どうげん)禅師さまは、正法眼蔵(しようぼうげんぞう)三界唯心(さんがいゆいしん)』の巻で、このお釈迦さまのお示しを非常に高く評価されます。「このお釈迦さまのいわれた、三界(さんがい)は心であるという一句は、お釈迦さま一代の力説(りきせつ)であり、お釈迦さまの一代はこの一句でいい尽くされている」といわれています。そして、道元さまはこの宇宙を創造したこころ(・・・)こそが、如来(によらい)(仏さま)であり、如来からすべての世界が生まれたといわれるのです。ですからこの宇宙に存在するすべては、銀河も太陽も地球もそこに生きる生命も、もちろん我々人間もみな如来(仏さま)の子であり、如来はすべての存在の慈父(じふ)であるといわれるのです。
そしてさらに、慈父(じふ)(如来)と子(存在)の関係を次のようにいわれます。「父が先で子が後ではない、子が先で父が後でもない、父子が並んでいるのでもない、そういう関係を『()が子』の道理というのである。また、父が大で子が小という量の問題でもない。父が若くて子が老いているということがある、父が老いていて子が若いということがある、父も老い子も老いているということがある、父も若い子も若いということがある、十方全世界(じつぽうぜんせかい)(全宇宙)の、過去現在未来のすべての衆生(しゆじよう)(存在)は、十方全世界の過去現在未来の如来(こころ)である。如来の()が子は衆生である、衆生の慈父は如来である。この道理をよくよく考えてみなくてはならない」と説かれています。
つまり、この宇宙創造のこころ(・・・)により、この宇宙全体の現象世界が現れているのだから、すべての世界は仏さまのこころ(・・・)の世界であるということです。この仏さまの()()()の他に世界はないのだといわれるのです。 

さて、思い返してみますと昨年の夏は全国的に猛暑に見舞われ、ここ札幌においても、今まで経験したことのない暑い日が続きました。本州では40度近い酷暑で、大勢の方が熱中症により亡くなられるというニュースも流れました。また、ロシアでは雨不足により、山火事が発生しモスクワの空港が閉鎖されたという報道もありました。世界各地で温暖化によってなのでしょうか、さまざまな異常気象がおきています。また他にも、海洋汚染、大気汚染、水環境、土壌汚染、森林減少、オゾン層破壊、酸性雨などたくさんの地球環境問題がいわれるようになりました。そして、それは現実に目に見える形となって我々にふりかかってきています。
ここ数百年の間に、人類は急激に文明を発展させ、そのおかげで我々は、とても便利で快適な生活を送ることができるようになりました。しかし、その一方で人間は解決すべきさまざまな問題も同時に抱えることになります。

ところで、毎年新年にはだれもが社会や家庭の平和や安穏、そして風雨がおだやかで、国土は五穀豊穣でありますようにとお祈りいたします。しかし、現代の私たちは、それを妨げる原因を自らがつくっているとも思えます。私たち人間一人ひとりにも心があります。そして、我々一人ひとりの心が自分自身の人生を、またこの現実の社会を創りだしているといえます。ですから、我々がいま、未来になにを思うかによって未来の地球の姿が決まってくるのだといえると思います。私たちは、いまこそ少しの間立ち止まり、もう一度宇宙を創造したこころ(・・・)に立ち返り、自分自身の心を見つめて行かなくてはならないのではないでしょうか。

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