ずいけい
まごころに生きる  


大本山永平寺 (かん)(しゅ) 福山(たい)(ほう)禅師
二十一世紀、グローバル化によって更なる進歩と発展を勝ち得たかに見えた世界は、短期間に地球上に拡散したウイルスに、思わぬ(あや)うさを()(てい)してしまいました。新コロナウイルスという未知の感染症が猛威を振るう(ただ)(なか)、治療の最前線にあって身命をかけて医療に従事されている方々の努力にもかかわらず、多数の人々が病に伏し、多くの尊い命が失われ、今、人々の生活は、ウイルス感染拡大という目に見えぬ恐怖の中にあります。 
しかし、歴史を振り返ってみますと〝いのちの危機の時代〟は()()だけのことではありませんでした。紛争や暴力、自然災害など、常に危機の中にありました。とりわけ「(やまい)」に着目すれば繰り返し感染症の災害に見舞われ、その都度、人類は智慧と力を結集して克服してきたのです。
(えい)(へい)()(どう)(げん)(ぜん)()は「(しょう)()はほとけの(おん)いのちなり」と説かれました。不思議なご縁の中で与えられたいのちを、〝仏さまのいのち〟として生ききりなさい、とお示しになられたのです。
現代社会における物量、利便性、スピードに重きを置いた進歩と繁栄が、この危機克服に()(りょ)するならば、〝ご縁〟という共存の中に()るいのちを()()え、いのちを仏のいのちたらしめるために、どう生きるかという根本に戻らねばなりません。何時の時代にも、人類は(くら)(やみ)の中に光を見いだしてきたのです。
立ち行かぬ困難の中だからこそ、()(けん)()(よく)()てて、(じん)(しん)(いつ)にして手を取り合い、(ぶっ)(ぽう)(ともしび)として感染症拡散の(やみ)()を歩んでいこうではありませんか。
現在永平寺では、毎朝、人々が(だい)(なん)(しょう)(なん)に変える智慧を(はっ)()してくださり、世界が(あん)(ねい)を取り戻すことを(こいねが)い、万国の疫病退散と人々の(びょう)()(へい)()、そして尊い命を亡くされた()(たま)の安らかならんことを(しい)(しん)(おい)(のり)いたしております。
共に〝仏のいのち〟を生きる者として、心を合わせて参りましょう。


コロナについて   浄国寺 住職 高橋浄英
《 ひでぼーとコロナ 》
以前お寺で、「ひでぼー(てん)()(うた)」という本の朗読会をおこないました。札幌に住んでいたひでぼーは、2001年5月14日、重度の(しょう)(がい)をもって生まれました。耳が聞こえなくて、声が出せなくて、歩けなくて、口から食べることもできませんでした。お母さんの(はし)(もと)()()さんは、ひでぼーが生まれてその短い生涯を閉じるまでの9年間、不眠不休のまさしく命がけの子育てをされました。
そんなひでぼーが、ある時から心の中で(うた)をつくり、その詩をひでぼーのお母さんが心で受け止めるようになりました。純粋で美しい数々の詩は、まるで宇宙の彼方(かなた)から送られてきたメッセージでした。こうして『ひでぼー(てん)()(うた)』が生まれました。
その中の「ウイルス君、ばい(きん)ちゃんへ」という(うた)をご紹介します。

ウイルス君、ばい(きん)ちゃんに、みんなの代表として、僕がごめんなさいのお手紙を書きます。
「ウイルス君、ばい菌ちゃん、あなたたちは(かみ)(さま)(あい)のもとで、僕たちと仲よく暮らしていましたよね。
ある時、僕たちがとんでもない『(こころ)』を持ってしまったせいで、あなたたちまでとんでもなく(あら)(あら)しい『心』を持ってしまいました。
だから、僕たちに(おそ)いかかってくるようになったのですよね。
あなたたちを(わる)(もの)にしてしまった人間を、お(ゆる)しください。本当は悪さなんかしない優しい仲間だったのに。
また一緒に仲よく暮らしましょうね。
本当に本当にごめんなさい。許してもらえますか?
あなたたちのこと、心から愛しています。
そして、ずっとずっと、ありがとう。ありがとう」
 


《 水とコロナ 》 
和歌山県橋本市()()()(こう)()(さん)(ふもと)に、天然温泉「ゆの里」という温泉があります。
ここは「金水」「銀水」「銅水」の3つの不思議なお水が湧き出たところです。その昔、()()()という地には、()()()(でら)というお寺があり、弘法大師(くう)(かい)さまが、高野山を開く前に立ち寄り、「この地には、(のち)に人々を救う水が()き出る」と、予言されたところです。
現在この温泉の社長は重岡昌吾さんという方で、お水の研究者でもあります。重岡さんは、世界各国の科学者や神戸大学と水の共同研究をされています。重岡さんは、水にはいろいろな性質があるが、その中に「水の構造が機能を決める」ということがあるといわれます。水の構造とは「かたち」のこと。機能とは「はたらき」のことだそうです。つまり、水に溶け込んだ成分により、「かたち」は変化し、その「はたらき」が変わっていくということです。そして、水は1秒間に1兆回転(振動)しているといわれるほど絶えず動き続けながら(れん)(けい)して水の世界をつくるといいます。
人の細胞は、水の膜で(おお)われています。その膜の外側は、普段はマイナスの(でん)()(マイナス・イオン)なのですが、恐怖などを感じると、プラスとマイナスが逆転して、プラスの電荷になるのだそうです。そうすると、コロナのウイルスがくっつきます。そして、そのコロナの振動が、細胞の核の振動を変化させると感染が起きるのだそうです。
しかし、コロナウイルスの振動数は10の10乗であるのに対して、水の振動数は10の12乗とコロナウイルスの振動数よりも高いので、通常であれば、例えコロナウイルスが細胞にくっついたとしても、コロナウイルスを受け容れてその高い振動数でウイルスを包み込んでしまうので感染に至らないそうです。
もしそうであれば、コロナにかからない()(けつ)は、むやみに恐れるのではなく、体内に70パーセントあるお水の力を信じ、平常心を保つということになるのでしょう。

日本人は、(じょう)(もん)の時代から、すべてが共存しているという「()の精神」を大切にしてきた民族です。これは、人間に都合のよいものだけを善と見なし、都合の悪いものは悪であると、(はい)(じょ)してしまうというような、人間の勝手な価値判断で物事を差別するのではなく、人間も自然界の一部であり、すべてが共存しているという考え方です。
目に見える物質がすべてであると考えるのではなく、見えないものも、この世の中を作っていることを意識しなければならないということです。
この困難な時代を、一人一人が思いやりの和の精神を思い起こし、共に手を取り合ってのりこえて参りましょう。

▲金水・銀水・銅水の構造



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