ずいけい
まごころに生きる  


元日、または二日の夜に見る夢を初夢といいますが、皆さまはどんな初夢をご覧になったでしょうか。
むかしから縁起のよい初夢は「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」が吉夢として有名ですが、いずれも縁起がよく、めでたいもののベスト3ということでしょう。それぞれのいわれは次の通りです。
「富士」は、高くて美しい山で、高い目標や理想をかなえる立身出世を象徴しています。裾広がりも縁起がよいとされます。
(たか)」は、高く、強く羽ばたき大空を舞うので、開運につながるといいます。
茄子(なすび)」は、財を成す、子を成すなど、事を「成す」ことに通じて縁起がよいとされています。
さて、夢については20世紀に入り心理学者によってさまざまな研究がなされました。フロイトは、無意識界へ抑圧されている願望、欲求や本能が意識に現れたもの、または変装して意識に現れたものが夢であるとしました。
また、フロイトの弟子ユングは、夢は無意識からのメッセージであり、その人の内界に潜在している可能性を示してくれるといっています。
いずれにしても、私たちの意識より深い深層意識からのメッセージが夢となるのでしょう。
仏教では3世紀ころに、()(じやく)()(しん)という兄弟のお坊さんが、人の意識について「(ゆい)(しき)」という教えを説かれました。唯識では、人には物事を判断する六つの認識作用「(げん)(しき)()(しき)()(しき)(ぜつ)(しき)(しん)(しき)()(しき)」があり、それを支えているのがその奥にある深層意識で、「末那識(まなしき)」という意識と、さらに深いところに「阿頼耶識(あらやしき)」という意識の世界があるといいます。
そして、人が行う行為のことを「(ごう)」(カルマ)といいますが、業には「()(くち)(おもい)」の三つがあり、身体で行ったこと、口で言ったこと、心で思ったことの行いが種子となって阿頼耶識(あらやしき)の中にたくわえられていくのです。(阿頼耶(アラヤ)(くら)という意味で、阿頼耶識(あらやしき)は意識の蔵という意味)つまり、人の行動や言動や思いは、すべて記憶となって無意識の一番奥の深層意識の中に記録されていくということです。
仏教は、(りん)()(てん)(しよう)を説きます。つまり肉体は滅びても、また次の(しよう)へと(てん)(しよう)し生まれ変わっていくのです。このときに、阿頼耶識(あらやしき)に蓄えられた(ごう)(たね)は、消滅してしまうことなく次の生に引き継がれて、現世での才能などに現れるといいます。

さて、今から70年ほど前のアメリカに、エドガー・ケイシーという人がいました。
エドガー・ケーシーには不思議な能力がありました。それは、(さい)(みん)(りよう)(ほう)により人の病気を治したり、その人の前世をいい当てたりするというものです。ただ、普通の催眠療法と大きく違うところは、患者を催眠状態にするのではなく、ケーシー自身が催眠状態になり、患者の身体の状態、病状、治療法などをいい当てるというものでした。催眠中のケーシーの深層意識が同席している他の人と会話をすることができたのです。ケーシーが催眠状態で語る言葉は「リーディング」と呼ばれ、最初は病気や健康に関するものが多かったのですが、後に人生やビジネスや宇宙に関するものなどあらゆる質問に答えています。その数は、14,000件におよび、その答えは速記によって記録され、それぞれの内容によって分類されました。
その分類された内容の中に、夢を解釈するというリーディングがあります。それは、依頼者が見た夢をケーシーがリーディングによって解釈したものです。ケーシーは、夢は人生を充実させ豊かにする貴重な情報の宝庫だといいます。
ある女性が、次のような夢を見ました。「駄菓子屋さんに行き、お店の人に10セントで(あめ)をください。すると店主は飴玉を4つくれました。割に合わないと思い、今度は1ドルでチョコレートをくださいといいます。すると1ドルで3個しかくれません。私は不愉快になり買わないで店を出ました。」(当時の1ドルは今日の数万円の価値があると思われます)
これに対するケーシーの解釈は、「これは、日頃あなたが周りの人々に対して取っている態度である。あなたは人からの奉仕や親切をあまりにも安く見積もっている。あなたが日頃人々に対して取っている態度を、夢の中では相手から受けているのです。心の持ち方を変えなさい。」というものでした。この夢では、いじわるな店主が実は自分自身の反映であったのです。現実の生活では、自分が相手の善意や親切を安く見積もっていたのですが、夢の中では逆に彼女自身が人からそのように扱われることになりました。
もし、夢が深層意識からのメッセージであり、その深層意識は、実は自身の行いのすべてであるとするならば、より良い夢を見るためには、自分自身の身と口と(こころ)を正しく保つことに他ならないということになります。
ケーシーも「人生で大切なことは、(しん)(ぼう)、兄弟愛、(にん)(たい)、親切、やさしさ、希望、信仰である」といわれています。 



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